「ウルトラマン」全話レビュー

※収録されているDVDも紹介しています。
 全巻パナソニックデジタルネットワークサーブ(株)より
 ¥3,800(税抜)で発売中です。
※登場怪獣名はオープニングのテロップに従っています。
 (第8話のみ一部省略)
※満田監督のお名前はもちろん漢字ですが、PCでは
 表示できない漢字のためやむを得ず平仮名にしています。
※ジャケット画像をクリックすると該当するレビューへジャンプします。
VOL..1

BBBS-1082
VOL..2

BBBS-1083
VOL..3

BBBS-1084
VOL..4

BBBS-1085
VOL..5

BBBS-1086
VOL..6

BBBS-1087
VOL..7

BBBS-1088
VOL..8

BBBS-1089
VOL..9

BBBS-1090
VOL..10

BBBS-1091





サブタイトル 登場怪獣 脚本・監督 放映日
第1話
「ウルトラ作戦第1号」
宇宙怪獣ベムラー 登場 脚本:関沢新一/金城哲夫
監督:円谷一
1966/7/17放映
ウルトラマン登場の経緯が描かれる、記念すべき第1話です。実は製作順では5番目にあたり、そのせいか俳優陣も慣れた感じで自然な感じです。ネクタイについてるボタンのランプは危険信号を発信するのでしょうかね。ベムラーは、ハヤタが「宇宙の長旅で疲れた」と言っているように湖底でしゃがんで休んでいるし、ウルトラマンにコテンパンにされて高々と持ち上げられた時に小さな腕がピクピク〜となっていたり、生物感にあふれています。
私がこの第1話で注目するのは、地球人が「ウルトラマン」と命名する場面がしっかり描かれているところですね。「ウルトラセブン」が「ウルトラ警備隊7番目の隊員の意味」なのは有名ですが、実は劇中では命名されていませんし、「仮面ライダー」でもいつの間にか名乗っている、「仮面ライダー(新)」では命名はされているものの根拠なし…と、「劇中での」命名は軽く扱われる場合が案外多いからです。特にこの当時東京オリンピックで「ウルトラC」が出て以来、「超人」の意味で「ウルトラマン」と名づけるのも自然な展開といえます。
ともあれ、ここからウルトラマンの歴史がはじまるのです。我々も力強く応援していきましょう。それゆけ!我らのヒーロー!!
第2話
「侵略者を撃て」
バルタン星人 登場 脚本:千束北男
監督:飯島敏宏
1966/7/24放映
日本一メジャーなウルトラ怪獣のバルタン星人、第2話でいきなり出てくるのですが、製作順では実は最初!視聴者に向かって語りかけるイデ隊員やフジ隊員、「ウアーッ」と叫んで飛び降りるハヤタ隊員はよく言えば新鮮、悪く言えば違和感があります。ともあれ、バルタン星人の分身は「見たか!円谷の映像技術!!」って感じですばらしいですし、また「スペシウム光線」の命名がされる重要なエピソードでもあり、見所の多いエピソードです。しかしキャップ、バルタンの弱点がスペシウムであることと、ウルトラマンの光線がそれと同じ物質であることはどーやって見抜いたんスか?
余談:ラストでは、アラシ隊員は15805匹まで羊を数えてました。
第3話
「科特隊出撃せよ」
ネロンガ 登場 脚本:山田正弘
監督:飯島敏宏
1966/7/31放映
初期製作のエピソードということもあり、ストーリー的には特に語ることもない普通の「ウルトラマン」なのですが、多くの合成カットが使われています。ホシノ君に呼びかけるフジ隊員を井戸の中から見たシーン、井戸の底でホシノ君が巨大な目玉に出会うシーン、送電所で電気を吸うネロンガをハヤタ・アラシ両隊員が見守っているシーン(見守ってる場合か)、ホシノ君が隠れる大型車両の向こうからネロンガが迫ってくるシーン…その他、透明なネロンガによって…つまり撮影上は何もいないのに発電所が壊されていくシーンや精密に作りこまれた送電所のセット(壊れるのがもったいない!!)、電気を吸うときは上から下に、放電する時は下から上に点滅するネロンガの角など、「これでもか!」と言わんばかりの特撮技術が使われまくっており、新番組に賭ける円谷プロの意気込みが伝わってきます。
ウルトラマンとネロンガの戦闘シーンでは、ネロンガの放電攻撃を平然と胸で受け止めた上に「かかってこい!」とばかりに胸をドンと叩くシーンがたまりません。
余談:冒頭に出てくるお城は小田原城という話です。
第4話
「大爆発5秒前」
海底原人ラゴン 登場 脚本:南川竜
監督:野長瀬三摩地
1966/8/7放映
ウルトラQ第20話「海底原人ラゴン」に登場するラゴン、今度は巨大怪獣としての登場です。海底に落下した水爆の影響で体格も性格も変わってしまったという設定ですが、巨大化した理由として語られているだけで特に核兵器批判のような側面はありません。ラゴンがぶら下げた水爆を爆発させないようにいかに戦うか、というサスペンスを軸としたわりと普通の怪獣ドラマになっています。




第5話
「ミロガンダの秘密」
グリーンモンス 登場 脚本:藤川桂介
監督:飯島敏宏
1966/8/14放映
4話までの怪獣もバラエティに富んでいますが、そこへさらに斬新な植物怪獣の登場です。といっても「顔のようなものがない」「緑色」っていうだけであんまり植物には見えませんが(笑)。ストーリー自体は特別インパクトのあるものではないのですが、イデ隊員のギャグシーンが妙に多いのが気になります。調べてみるとこのエピソードは「侵略者を撃て」に続く(製作順の)第2話で、初期はイデ隊員のひょうきんぶりを意識して前面に出そうとしていたのかもしれません。その他スーパーガンの光線が直線状だったりムラマツキャップが「ハヤタ君」と言っていたり、後のエピソードと雰囲気が違う部分が多いのも、初期製作であることを考えるとうなづけます。
ウルトラマンとグリーンモンスの戦いは、時計台を挟んでにらみあう両者の図など、まさに時代劇のノリでカッコイイです。グリーンモンスはスペシウム光線を浴びて燃えてしまいますが、これはどうやら着ぐるみ自体を燃やしてしまっているようです。写真が少ないのもそのせいかもしれません。
それにしても、何を聞かれても「一概にそうは言えませんな」と答える岩本博士って一体…。
第6話
「沿岸警備命令」
海獣ゲスラ 登場 脚本:山田正弘
監督:野長瀬三摩地
1966/8/21放映
ホシノ少年の奮闘エピソードです。少年視聴者はヒーローにはもちろん憧れますが、実はヒーローのそばにいる子供…つまり自分がなることもできそうな立場(ヒーローそのものはそう簡単にはなれないので)に、もっと憧れるものです。その意味で、これはワクワクしながら見られるエピソードですね。透明ではない電話ボックスや、チョコレートで喜ぶ子供に時代を感じる…。ゲスラについては、トゲトゲのトカゲのはずが水中撮影のためにトゲパーツの先端が丸まってしまい(材質はなんなんでしょうね?)、「トゲトゲ」の印象がなくなってしまいました。
余談:ゲスラは、「ウルトラQ」に出てくるピーターの改造です。
第7話
「バラージの青い石」
磁力怪獣アントラー 登場 脚本:南川竜/金城哲夫
監督:野長瀬三摩地
1966/8/28放映
東宝映画「奇巌城の冒険」のセットを流用して、謎の街「バラージ」を表現しています。「ウルトラマン」は東宝から素材を借りることが多い(一番わかりやすいのは怪獣のぬいぐるみ)ですが、もしこのセットを一から作っていたら、それはそれはショボい街ができあがっていたことでしょう。結果的に壮大な、迫力のあるものができあがるのなら流用も大いに結構と思います。
それはさておき、隕石の調査のために中近東へ向かった科特隊一行は、アントラーの磁力光線でビートルが故障し、不時着して徒歩でバラージを目指します。この時キャップはイデ隊員をビートルに残しますが、その時の説得のしかたが素晴らしい!頭ごなしの命令でも、やたらと甘やかすのでもない、非常に優れた指導でした。部下を操るのがヘタな上司の皆さんは参考にして欲しいものです。それにしては冒頭、フジ隊員を基地に残す時にはたいした説得もしないんですが。
アントラーは強い!スペシウム光線をものともしません。しかしウルトラマンも負けるわけではなく鍔迫り合いが続き、まさに時間との戦いです。淡々としていながら緊迫感あふれる石坂浩二さんのナレーションがさらにそのサスペンスを盛り上げます。チャータムがノアの像に駆け寄って青い石を取る場面で、ノアの像のアップからウルトラマンのアップにつなぐ映像はいいセンスだと思います。そして青い石の力でアントラーはついに倒れ、科特隊は帰還していくのでした…って、隕石の調査はせんでいいのか!!
余談:「奇巌城の冒険」は三船敏郎さんが主演ですが、ハヤタ役の黒部さん、フジの桜井さん、岩本博士の平田さんも出演しています。私は見たことありませんが。
第8話
「怪獣無法地帯」
レッドキング
マグラー 他 登場
脚本:金城哲夫/上原正三
監督:円谷一
1966/9/4放映
来ました!「ウルトラマン」最初の複数怪獣登場エピソード。怪獣がテレビで見られるというだけですごかった時代、5体もの怪獣(といってもスフランはただの植物だし、ピグモンは等身大しかも人間の味方なので実質3体ですが…)が出てくるというだけで大興奮!!強く、凶悪でありながらどこかユーモラスな印象のレッドキングは多々良島のジャイアンとでもいうべき存在で(じゃ、マグラーはスネ夫か?)、怪獣はただたくさん出てくるだけではなく個性付けがしっかりなされています。
ピグモンの案内でやっと松井所員を発見した科特隊の前にレッドキングが現れるや、すぐに走り出すピグモン。人間を守ろうと自ら危険に向かっていく姿に心を打たれます。そんなピグモンを殺した憎いレッドキングの前に、ついにウルトラマン登場!空中からキックをお見舞いし、「かかってこい!」と言わんばかりに胸をドン!レッドキングの巨体を軽々と持ち上げ、渾身の首投げでキメ!!強力怪獣をあっさりと葬るウルトラマン、まさに最強!!
しかしピグモンに特殊風船爆弾を使ったイデ隊員、発射後に空薬莢をポイって…ゴミは持ち帰んなきゃダメだよう。
余談:マグラーは東宝怪獣バラゴンから「ウルトラQ」のパゴスに改造されたものをさらに改造したものです。チャンドラーは、同じく「ウルトラQ」のペギラの改造です。角つけただけですが。




第9話
「電光石火作戦」
ウラン怪獣ガボラ 登場 脚本:山田正弘
監督:野長瀬三摩地
1966/9/11放映
えー…率直に申しまして、ワタシ的に初代マンの中ではもっともイマイチなエピソードです。個々に見ていくと逃げ惑う人々とガボラの合成映像や一般市民も科特隊もガボラの存在をすでに知っていることなど注目すべき点も多いのですが、やっぱり「おー牧場ーはーみーどーりー♪」のあのへんがどうしても脱力…。子供をストーリーの中心に据えることは、視聴者の子供に親しみを持たせるためには効果的なのですが。
ウルトラマンの戦いもスペシウム光線なしで若干地味です。
なお企画当初は「ウルトラQ」のウラン怪獣、パゴスが登場する予定でした。
余談:ガボラは例のバラゴンベースの怪獣です。怪獣図鑑などは当然ヒレを開いた写真ばかりですが、本編を見るとヒレを閉じているのが基本形で、その点で他のバラゴンベース怪獣と差別化しています。またよく見ると、頭が相当重いのかピアノ線で吊っています。この撮影の後アトラクション用ネロンガに改造され、さらにその2年後にバラゴンに再改造されて「怪獣総進撃」に登場します。
第10話
「謎の恐竜基地」
エリ巻恐竜ジラース 登場 脚本:金城哲夫
監督:満田かずほ
1966/9/18放映
数ある改造怪獣の中でももっとも有名なジラースの登場です。説明するのもはずかしいくらい有名ですがゴジラの改造です。具体的には、「モスラ対ゴジラ」のゴジラ(ウルトラQのゴメスもこのゴジラの改造です)の胴体に、「怪獣大戦争」(1965)のゴジラの首が使われています。このあとジラースはゴジラに戻され、「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」に出ています。
イデ・アラシ・ハヤタの三隊員が休暇をとっているのは下田温泉ホテルです(OPにもクレジットされています)。休暇をもらったというのに何やら書類整理をするハヤタ隊員、両手に食べ物を持ってバリバリ食べるアラシ隊員と、キャラ描写に余念がありません。そのホテルの遊技場に置いてある、アナログ感覚丸出しのピンボールはまだいいとしても、スロットレーシングカーが時代を感じさせます。
しかし初対面であるはずの女性記者と一緒に夜釣りに出かけちゃうイデ隊員…果たしてどちらが誘ったのか?いずれにしても隅に置けません。真ん中に置いちゃおう(?)。
ウルトラマンとジラースの戦いは、力比べの後闘牛ごっことなり、BGMも通常の戦闘テーマは流れず独特のドラムソロで、いつもとは違う雰囲気をかもし出しています。いつもの「かかってこい!」で胸を叩くところや、しりもちをついたジラースを「シュワッハッハッハ」と嘲笑するところのウルトラマンの余裕ぶりがカッコイイです。ちなみにこの時の変身シーンは、ベーターカプセルの光がハヤタ隊員の体を包んでいくプロセスが見られる、珍しいものです。
なお、ラストシーンで流れるドラマチックな曲は「ガス人間第一号」からの流用曲です。
余談:ウルトラQの一平役・西条康彦さんが釣り人役で出ています。
第11話
「宇宙から来た暴れん坊」
脳波怪獣ギャンゴ 登場 脚本:宮田達男
監督:満田かずほ
1966/9/25放映
遊んでいる子供たちがギャンゴの隕石を見つけるところから始まります。子供たちが馬乗りになってどんどんつながっていくアレはどんな遊びなのでしょう?「帰ってきたウルトラマン」第29話「次郎くん怪獣にのる」でも子供たちが同じ遊びをしてますが…。この、子供たちがギャンゴの隕石で遊ぶシーンはストーリーから言えばすっとんじゃう部分ですが、映像的にはかなりおもしろいです。ビー玉やスロットカー(懐)が玩具の定番として出てきたり、ストップモーションでケーキができあがっていったり。ピアノは、カメラが寄らないところから見ても作り物でしょう。また、科学センターでの記者会見シーンでは若き日の青島幸雄氏が登場!コミカルな演技をサラリと見せてくれるところはさすがです。でも「ばかものー!」と怒鳴るおじさんが誰なのか謎。小学生なみのイタズラでご満悦の隕石泥棒・鬼田が気絶することでギャンゴは暴走するわけですが、ウルトラマンは押さえ込むギャンゴをくすぐったり、肩を叩いて振り向いたところを殴ったり、海から水をかけたりと、コミカルというかテンポのよい戦いを見せてくれます。しかし考えてみると「子供たちの日常が描かれる」「ギャグが散見」「コミカルな怪獣」…そしてギャンゴの出自自体、「宇宙怪獣」「古代生物」などの生き物系ではなくファンタジックなものであることなどを踏まえると、なんとなく「ウルトラマンタロウ」の原点がここにあるような気がします。「ウルトラマン」がヒットしたのは、単にシリーズのパイオニアだからというだけでなく、様々な世界観をとりこめるだけの懐の広さもその秘密なのではないでしょうか。
余談:ギャンゴはベムラーを改造したものです。また科学センターの建物は、実は神奈川県の長沢浄水場。本郷猛の大学でもあります。
第12話
「ミイラの叫び」
ミイラ怪獣ドドンゴ 登場 脚本:藤川桂介
監督:円谷一
1966/10/2放映
ウルトラ怪獣史上初の、2人入りぬいぐるみ怪獣ドドンゴの登場です。「死にながら生きていた、と訂正しよう」となんだかよくわからないことを言う岩本博士、根拠もなく突然「あの怪獣は東京へ向かっている!」と言うアラシ隊員など微妙な描写は多いですが、「発掘などせず何万年でも眠らせておいてやればよかった」という、人間の側にも非があるというエピソードは初期「ウルトラマン」には珍しい意欲作です。ウルトラマンがスペシウム光線を撃とうとして、躊躇しているように見えるのは私だけでしょうか?しかし、それらメッセージ性以外にも見所は多く、ひとつはラスト近くのウルトラマンがハヤタに戻るシーン。「科特隊出撃せよ」「謎の恐竜基地」での変身シーン同様、具体的なシークエンスを見せる貴重なシーンと言えましょう。イデ隊員が「あいつほんとにウルトラマンじゃないのかな?」と言うのは、おそらく「侵略者を撃て」での「てっきりハヤタさんがウルトラマンかと思いました」につながっていると見て間違いないと思います。一話完結タイプのシリーズ作品で、このように放送済みエピソードとのリンクを見せてくれるとちょっと嬉しいですね。次にバリヤーマシン。ビーム攻撃に反応してバリヤーを発生させるようで、ドドンゴの光線からアラシ隊員を完全に守っています。しかし飛んでくる岩など物理攻撃にはまったく効果がありません。ビグザムみたいです。ドドンゴが現われるシーンは奥多摩工業の周辺で撮影されていますが、破壊される建物のミニチュアなどよくできています。断末魔のドドンゴの足がピクピクしてるのも芸コマです。
余談1:将棋で負けてしまってる警備員を演じるのは奥村公延さん。ウルトラQ「地底超特急西へ」ではイナズマ号の運転士、「仮面ライダー」でもショッカーの存在を最後まで信じない刑事の役でゲスト出演されています。
余談2:この回は製作順でも放映順でも第12話で、これ以降、製作順と放映順は同じになります。。




第13話
「オイルSOS」
油獣ペスター 登場 脚本:金城哲夫
監督:円谷一
1966/10/9放映
イデ隊員悩み三部作の第一弾!(ちなみに後の2つは「故郷は地球」と「小さな英雄」ですが、「三部作」と命名してるのは私だけです)タッコングやオイルドリンカーなど、後に定番化するオイル怪獣の先駆者、ペスターの登場です。ストーリーとしては自分のミスに責任を感じるイデの心理描写がメインなのですが、怪獣映画としてのポイントもしっかり押さえられています。まずはペスターの生態についての説明。岩本博士の、いかにも科学的!な解説が光ります。キャラクターとして見ても、スーツアクターが2人入るタイプのユニークな怪獣ですし、海を表すヒトデと吸血コウモリ(現代社会の血液たるオイルを吸うわけですから)の顔を合体したデザインも斬新です。そして製油所破壊シーン。劇中でも泣いちゃってる製油会社の社長にしてみればたまったものではありませんが、純粋に映像に対してコメントするならば全編爆発と炎上の連続で、大変迫力があります。最近では消防法とかの関係で、スタジオ内であってもこういった映像は作れなくなっているそうですね。ペスターはと言えば、その火災の中自爆(実際に爆発はしないのですが)してしまい、ウルトラマンはペスターにスペシウム光線を撃った以外は消火活動に専念します。戦闘シーンがなくてつまらないと言う人もいますが、私はそうは思いません。人間がどんなにがんばっても消すことのできない超大火災を、ウルトラ水流で瞬く間に消してしまう…。戦い、すなわち暴力だけの強さではなく、あらゆる面において超人だという感じがして大変好きです。すべて消化し、煙だけが残る中満足げにうなずくところもいい味出してます。
余談:ウルトラマンティガ第48話「月からの逃亡者」にて、ペスター同様左右に2人はいるタイプの怪獣「メンジュラ」が登場します。 
第14話
「真珠貝防衛指令」
汐吹き怪獣ガマクジラ 登場 脚本:佐々木守
監督:実相寺昭雄
1966/10/16放映
何かにつけて話題になる実相寺監督の最初の作品で、人物を鏡越しに写すなど独特の手法が展開されます。ストーリー的には「事件が起きました、原因は怪獣でした、やっつけました、事件が解決しました」という単純なものなのですが、真珠に固執するフジ隊員を軸にした物語になっています。
「銀座で買い物をするフジ隊員」という、科特隊の日常が描かれているのが珍しいですね。「科特隊の月給日」などという単語にはいい意味での違和感を感じます。
特撮面のトピックとしては、これで最後となるプールを使用した撮影と、これが最初となるBタイプウルトラマンの登場が挙げられます。前者については、これまでの13本中6本で行なわれたのですが予算と手間の関係からこれが最後となりました。考えてみれば、これ以降登場する水棲の怪獣はグビラのみ、そのグビラの海中シーンはすべて擬似水中シーンです。後者については、実はAタイプ対ガマクジラの場面が撮影されていながら本編ではカットになっています。
そしてオチは冒頭と同じくフジ隊員とイデ隊員の買い物シーン。ここで話を最初に戻しているのがおもしろいですね。2人はこの場面で互いに毒づいたりしているものの、一緒に銀座へ買い物に行くなんて案外仲がよさそうです。
第15話
「恐怖の宇宙線」
二次元怪獣ガヴァドン 登場 脚本:佐々木守
監督:実相寺昭雄
1966/10/23放映
「怪獣殿下」でも言えることですが、その当時の世相がわかるシーンっていいですね。まずは冒頭の、怪獣の絵が教室に貼りだされているシーン。「子供達の間でウルトラマンが人気」というレベルでなく、世の中自体が怪獣ブームって感じです。
そして土管!たくさんの工事が行われている高度経済成長時代だからこそたくさん置かれているわけで、今の時代ではありえない映像ですね。
ガヴァドンは破壊活動を行うわけではないので、その分生物的な描写の方に力が入ってます。眠っている時の気持ちよさそうな顔がたまりません。その寝姿がビルの窓に映るなど、さりげない特撮も冴えてます。
注目はやはりクライマックス、いつもは声援を送っているはずのウルトラマンに「帰れよー!」と罵倒する子供たち。特にウルトラマンがガヴァドンを投げ飛ばし地面に叩きつけた時に目を伏せる女の子の表情には、こちらまでつらくなります。本当に怪獣が大好きな子供達の気持ちが伝わってきます。
エンディング、星空の中「毎年七夕の夜にガヴァドンに会わせてあげよう」と子供達に語りかけるウルトラマン。それだけならちょっとファンタジックな終わり方なのですが「七夕の夜、雨が降ったらどうなるんだよぅ…」とムシバ少年の意外に現実的なツッコミがわさびを利かせてます。
ちなみに、今年(2003年)の七夕も雨でした…。
第16話
「科特隊宇宙へ」
バルタン星人 登場 脚本:千束北男
監督:飯島敏宏
1966/10/30放映
いきなりロケット発射シーンで始まり、それだけで(昭和40年代の)子供が大好きな宇宙・科学・未来といった夢あふれるモードに突入します。人気怪獣バルタン星人の再登場、主力メカ・ビートルのパワーアップ、ウルトラマンの新必殺技八つ裂き光輪などなど見所がもりだくさんな上に、「一番乗りより完成度」という岩本博士の理性・知的ぶりにシビれます。これ以降、ビートルは特にナレーションにより説明されなくとも宇宙へ行けるようになりますが、大気圏突入能力があるのかどうかは不明。




第17話
「無限へのパスポート」
四次元怪獣ブルトン 登場 脚本:藤川桂介
監督:飯島敏宏
1966/11/6放映
生き物の形をしていない、意思があるのかどうかもわからない…という超斬新な怪獣の発想には脱帽!ブルトンが引き起こすさまざまな怪奇現象は、これまた円谷プロの本領発揮で(おそらくは当時最新の)映像技術がたくさん使われています。それに加えてイデ・アラシ両隊員のキャラ描写もすばらしく、疑っていた秘書に会ってみたら美人だったので突然豹変し「アラシ君、絶対この人犯人じゃないよ」「俺もそう思う」が最高にシャレてます。当然ウルトラマンとの戦いも普通のアクションではなくサイキックバトルとなりこれまた斬新です。そしてラストシーンで、ホシノ少年はついに科特隊員となります。
第18話
「遊星から来た兄弟」
ザラブ星人 登場 脚本:南川竜/金城哲夫
監督:野長瀬三摩地
1966/11/13放映
ヒーローものの定番、偽者登場編です。後に単なる「ヒューマノイド型の怪獣」になってしまう「星人」も、この段階では「異星に住む『人』」として描かれており、地球人がどのようにコンタクトしていくか議論するあたり、また電子頭脳(笑)を使って会話するあたりがSFチックです。ザラブ星人は捕らえたハヤタ隊員からベーターカプセルを奪おうとするものの、ハヤタ隊員がそれを持っていないことに気づきます。ところがそれをホシノ君が持ってくるということは…ハヤタ隊員、忘れてきただけですか?それにしても、ハヤタ隊員を拘束するベルトが、なぜホシノ君の涙で切れたのか?それは宇宙永遠の謎である(?)。偽ウルトラマンは、2人のウルトラマンという(この時代としては)強烈なインパクトを与えるビジュアルを作り出しましたが、いかにも悪そうなツラをしているだけに本物のウルトラマンのかっこよさがたまりません。
余談1:ザラブ星人はラゴンの改造、というより首だけ取り替えたものです。
余談2:声優の青野武さんがザラブ星人の声だけでなく、中に入って熱演しました。
第19話
「悪魔はふたたび」
アボラス バニラ 登場 脚本:山田正弘/南川竜
監督:野長瀬三摩地
1966/11/20放映
メッセージ性、テーマ性という面ではなく、「王道」という点において「ウルトラマン」の中で私がもっとも好きなエピソードです。複数怪獣の登場、それによる市街地の破壊、古代(300005000年前)のタイムカプセルという科学心をそそる設定などがたまりません。さらにウルトラマンとアボラスの戦闘では、画面上からフレームインしての着地(後年のガイアを思わせます)から始まり、戦闘BGMがリピートするほど長時間の、白熱した戦い!決して劣勢ではないが時間がない!!というハラハラする展開に、ムラマツキャップでなくとも「ウルトラマンがんばれ!」と応援したくなります。
余談:アボラスはレッドキングの改造です。
第20話
「恐怖のルート87」
高原竜ヒドラ 登場 脚本:金城哲夫
監督:樋口祐三
1966/11/27放映
結論から言うと、ひき逃げで死んだ少年の化身の怪獣が車を襲う物語なのですが、マイカーブーム・交通戦争への警鐘というテーマ性はそれほど強くなく、意外に普通の怪獣ドラマとして物語は進んでいきます。普通のエピソードだと怪獣の出現または怪獣が引き起こす怪現象がドラマの発端になるのですが、このエピソードではそれにくわえて謎の少年の存在があり、調べていくと実は…というところは後年のウルトラセブンの「ノンマルトの使者」を思わせます。科特隊がヒドラ相手に展開するのは「ウルトラ作戦第2号」ですが、具体的にどのような作戦かは不明です。
余談:ヒドラの像は、ここで説明するのもバカバカしいくらい有名な、伊豆シャボテン公園の「荒原竜」(字の違いに注意)です。一時期、老朽化のため取り壊す計画が持ち上がっていましたが今でも健在です。正式には「荒原竜」なのですが、同園職員の間でも通称ヒドラで通っているそうです。




第21話
「噴煙突破せよ」
毒ガス怪獣ケムラー 登場 脚本:海堂太郎
監督:樋口祐三
1966/12/4放映
冒頭、鳥の死骸が点々と並んでるシーンは…実際に死骸を集めたんでしょうか??(怖)また、霧の中に光るケムラーの眼を発見してしまう女性ハイカーに「そこにお弁当があるからよ」と、登山家ジョージ・マロリーの有名な言葉のパロディを言わせるあたりはなかなかオシャレです。
そんなこんなで、真相がイマイチわからない事件を「こりゃ女子供の仕事ですよ」と暴言を吐くアラシ隊員、しかしそれに憤ることなくさらりとツッコむフジ隊員、そしてその弟分(?)のホシノ少年…いやホシノ隊員がメインで活躍するエピソードです。別名三角ビートルとも呼ばれる小型ビートルは、名前に反して垂直離着陸機能がありません。だからといってあんな謎の着陸方法をとることはないと思うんですけど。それはともかく、地元住民の声を聞いたり地震研究所へ聞き込みに行ったり、かなり正統派の調査活動をするフジ隊員、普段通信業務と悲鳴担当(笑)であっても、実はちゃんと科特隊員としての行動力を持っていることがうかがえます。
ケムラーの毒ガスにやられて連絡を絶った2人を救助するべく残りの隊員も現地へ向かいますが、ビートルの中でハヤタ隊員いわく「危険表示のメーターがどんどん上がってます」…一体何を計測してるんでしょうかそのメーターは。意識を回復したホシノ君は、ムラマツキャップの無線での指示に従いつつ小型ビートルを発進させました。その指示が非常に細かいところがハイテク機器っぽくてすごくいいんですが、飛び立った後自動操縦にできるくらいなら発進の手順をもう少し簡単にしておいて下さい。
マッドバズーカで葬られたケムラーは、スペシウム光線も通じない強敵でした。
第22話
「地上破壊工作」
地底怪獣テレスドン 登場 脚本:佐々木守
監督:実相寺昭雄
1966/12/11放映
ネロンガ、マグラー、ガボラと「地底怪獣」バラゴン改造できたものの、ここにきてついに新機軸の地底怪獣が登場しました。形態的にはオーソドックスな恐竜型、しかし炎を吐いて街を破壊し、科特隊のナパームも通じない…と、初代ゴジラばりの暴れっぷりを見せてくれます。ストーリーの核になるのは、地底人に誘拐されたハヤタ!意識を操作され、ウルトラマンは地底人に操られてしまうのか!?というサスペンスがいいのですが、アッサリ解決してしまいます。まあその後、強いテレスドンを簡単にやっつける、さらに強いウルトラマンが見られるのでよしとしましょう(?)。
第23話
「故郷は地球」
棲星怪獣ジャミラ 登場 脚本:佐々木守
監督:実相寺昭雄
1966/12/18放映
「ウルトラマン」を語る時、避けては通れないエピソードです。3年後に人類は月面に到達するわけですが、それだけに米ソの宇宙開発競争が激しかった時代であり、起こり得たであろう悲劇を描いています。助けに来なかった地球人に対する復讐心だけで生きている、変わり果てた姿の「人間」に、誰もが「宇宙」とは夢ばかりではないことを考えるのではないでしょうか。注目すべきは、やはり「もう人間らしい心はなくなっちまったのかよー!」というイデ隊員の叫びに、一瞬動きが止まるジャミラでしょう。ラストシーンでのジャミラの墓碑の没年が1993年になっているのも話題のひとつです。「ウルトラマン」は、実は1993年の物語だったのか?あるいは、このエピソードだけ時間軸が違うのか?それは公式に語られてはいないので無理に答えは出さず、みんながそれぞれに想像・解釈して楽しむのがよろしいかと。
しかし意外にツッコミどころも多く、そのイデ隊員の日本語の叫びを某国の宇宙飛行士であるジャミラが理解できたのか?ジャミラはウルトラマンが出てきて普通にファイティングポーズをとっているが、謎の巨大宇宙人の存在を疑問に思わなかったのか?そもそも、怪獣然としたジャミラを見てそれがなんで元地球人だとわかった?まあこのへんは本気でツッコまないのが大人というものです(笑)。
第24話
「海底科学基地」
深海怪獣グビラ 登場 脚本:藤川桂介
監督:飯島敏宏
1966/12/25放映
海底とか宇宙などの開発想像図のグラビアが少年誌を飾っていた時代を思わせる舞台設定です。この回は「ウルトラマン」では珍しく、怪獣がストーリーの主役にはなっておらず、救出作戦の単なる障害として出てきます。
極限状態における人物描写と科特隊の奮闘がこのエピソードのポイントです。まず科学公団の吉村総裁の自己中心ぶりが失笑するほどにひどい(笑)。対するムラマツキャップ、こんな状況下においても冷静沈着、自分より他人の命を優先する使命感がさすがです。しかしまだ少年であるにも関わらず、キャップを見習って取り乱すことなく行動するホシノ君もすばらしい!また、無線が通じなくなって
科特隊本部を中継したり(どういう原理なんでしょう?)、海底センターの断面図を見て救出作戦を検討したりという科学的な表現も冴えてます。
グビラについては、突然潮を吹いたり八つ裂き光輪をはね返したりしてウルトラマンを苦戦させた強敵ではあるものの、よく考えてみると、ドリルというおよそ生物らしからぬ特徴を持っている上、(おそらくは不利であるはずの)地上へわざわざあがってウルトラマンに倒されるという謎の多い怪獣でもあります。
最後にジェニー、パパのことを「パピー」と読んでいますが…普通は「Dad」とか「Daddy」であって「Pappy」とはあんまり言わないです(まったく言わないわけではないらしい)。
余談:閉じ込められた4人が気を紛らすためにやっているトランプ(いつ持ち込んだんだ?)には、ハッキリと「NINTENDO」の文字が…。




第25話
「怪彗星ツイフオン」
ギガス ドラコ レッドキング 登場 脚本:若槻文三
監督:飯島敏宏
1967/1/1放映
お正月といえばすべてのレギュラー番組が中止になるのが普通ですが、元日にもキッチリ放送されたということで5年後の「仮面ライダー」第40話とともに話題になるエピソードです。謎の天体の接近という、それだけでネタにできそうな事件を背景に、お年玉にふさわしい複数怪獣登場、それも一体は人気怪獣レッドキング!スペシウム光線を撃てば爆発の危険があるために苦戦しながらも、念力でレッドキングを持ち上げて動きを止めるウルトラマンがすごい。ブルトンの時もそうですが、単なる力押しではないサイキックバトルを見せられると「おおっ!」って思いますね。そして、次の彗星の接近日時を手計算で算出してしまう上に、なぜか「電子計算機がはじき出した」と言う岩本博士もすごい。謙虚なのか、「俺の頭脳は電子計算機なみだ」と言いたいのか??ちなみにその日時は3026年7月2日午前8時でした。
余談1:レッドキングは、アボラスから再度改造されました。でも途中でお尻(?)が破けちゃってます。また、ギガスはヒドラの改造です。
余談2:市民が避難していたのは、横浜銀行丸の内支店の前でした。
余談3:ナレーションを聞く限り、彗星の名前は「ツイフォン」なのですが、番組のサブタイトル画面ではどうみても「ツイフオン」で、DVDの表記もそうなっているのでそれに合わせました。後の「メフイラス星人」も同じ理由だったりします。
第26話
「怪獣殿下 前篇」
古代怪獣ゴモラ 登場 脚本:金城哲夫/若槻文三
監督:円谷一
1967/1/8放映
そして、お年玉作品に続く話題作!ウルトラ史上初の前後編「怪獣殿下」です。まず子供たちの場面から始まるのが嬉しいですね。科特隊本部とか○○研究所など閉鎖された空間ではなく、こういう昭和41年当時の市井の人々が描かれると社会の雰囲気が伝わってくるので好きです。放送禁止用語が出てきちゃうのには目をつぶるとして。しかし殿下、自分のあだ名を言おうとした友達の口をふさいでおいて「怪獣殿下だってよ」と言われると「ちっともおかしくなんかないじゃないか」と言うのはなぜ?とにもかくにも、彼が今週と来週の主役です。
ジョンスン島の場面はその辺の空き地で撮影したと思われますが、花や木など熱帯風の造形物をところどころに配置するだけで全体をジャングルっぽい雰囲気に見せているのはさすがです。というよりそれしかなかったんでしょうけど。そしてゴモラ空輸の場面では、ジェットビートルが三機出てきます。二機出てきたり、三角ビートルと同時に出てきたりする場面はこれまでにもありましたが、ジェットビートルが一度に三機出てくるのはこの回と最終回だけです(訂正:第34話でも3機出てました)。そして空輸に失敗し2000mの上空からゴモラを落下させてしまうわけですが、普通ならあたり一面血の海になってるはずで、「(落下した)ゴモラを見に行こう」という殿下より「ボクおっかないから帰るよ」と言って弱虫呼ばわりされてしまう少年の方に同意してしまったりします。
ゴモラとウルトラマンの戦いは郊外の造成地で繰り広げられますが(「造成地」自体が懐かしすぎ)、ゴモラ強い!頭突きでウルトラマンを吹っ飛ばし、肘うち、キック、そして尻尾攻撃!スペシウム光線の構えも取る暇もないほど尻尾で殴られまくります。そして、初期数話で聞かれた「ウルトラマンを支える太陽エネルギーは…」のナレーションが久しぶりに出てきます。カラータイマーの点滅、ピンチの緊迫感を煽る音楽(M4T2)と相まって、手に汗握るほどにハラハラすること受け合いです。
そしてゴモラはウルトラマンを倒し、地中へ姿を消すのでした。
余談1:殿下の部屋には、今やお宝扱いのブルマァクの怪獣ソフビ人形が見られます。確認できるだけで、ガラモン、カネゴン、アントラーがあります。
余談2:大阪タワーはちょうどウルトラマン放送開始の頃に、朝日放送の中継アンテナ設置のために建設されたもので、当時は話題の施設であったことでしょう。現在は残念ながら閉鎖されています。
第27話
「怪獣殿下 後篇」
古代怪獣ゴモラ 登場 脚本:金城哲夫/若槻文三
監督:円谷一
1967/1/15放映
前回のラストシーンから直接つながる形で始まり、ウルトラマンは12話の流用フィルムでハヤタに戻ります。そして、地下に姿を消したゴモラがどこに現われるのか?というサスペンスで展開し、その中で殿下一家のコミカルなシーンがまた見られます。そしてゴモラは大阪市街に現われ豪快な暴れっぷりを見せてくれます。まさしく怪獣映画の王道的な破壊シーンで迫力満点です。ハヤタのマルス133での攻撃でゴモラの尻尾が切断されますが、切り口がハデに燃えます。…これってわざとでしょうか??どうも事故に思えるんですが…。そしてウルトラマンが再び登場!一度負けた相手を軽々と破るシチュエーションはワクワクします。でももしも尻尾が切り落とされていなければ、ウルトラマンはまた負けてしまったのかもしれません。ここで、ぬいぐるみへの引火ネタをもうひとつ。スペシウム光線をくらった時、火花が飛び散ったのかゴモラの首の辺りに小さな炎が燃えています。ゴモラの首といえばスーツアクターの顔のまん前のはずで、よほど熱かったのかゴモラは手で必死に炎を消してから倒れこみます。そんなわけで、2週にわたる娯楽大作も幕を閉じました。しかしストーリーを振り返ってみると、ゴモラはかなりかわいそうな存在なんですね。中谷教授の独断で捕らえられ(アラシ隊員は反対していましたから)、2000m上空から落とされ、挙句の果てに殺されてしまうわけですから。ただし本作は娯楽編として作られているエピソードですので、それらについて真剣に考える必要はなく「そういえばそうだよな」程度で十分かと思います。
余談:
ブルマァクのソフビ人形、前篇で確認できなかったのはペギラとゴローのようです。
第28話
「人間標本5・6」
三面怪人ダダ 登場 脚本:山田正弘
監督:野長瀬三摩地
1967/1/22放映
このエピソードのみどころは4つあります。まずはダダ。平成初期に「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」で「ダダ星人」とした時に非ウルトラファンに対しても知名度があがりました。同番組でしかダダを知らない人は、このエピソードでホンモノを見て下さい。ところでダダのスーツについては、当初本当に顔がパタパタときりかわるギミックが検討されていたのですが、うまく機能しなかったために映像ではカット割で処理されました。残念。
次にキャップ。事故調査のためとはいえめずらしく自ら出動するうえに、ダダに肉弾戦を挑むキャップ!!統率力や戦略のみならず、現場でも実力を発揮するキャップのカッコよさが堪能できます。
そして謎。というと普通は謎が解かれていく過程がおもしろかったりするのですが、そうではなくて「謎」そのもの!バスの事故は誰が起こさせたのか?普通に考えればダダだろうけど、じゃあなんの目的で?標本は集めないの?っていうかなんの標本??…他にも、キャップが気がついた頃には事故後1時間が経過しており他の乗客はすべて救助された後でしたが、キャップを1時間も放置しておく救助隊っていったい…。
最後にウルトラマン。今回はなんだかプロレスチックな戦いで、「ウルトラマンを倒します!」と豪語したダダを簡単に返り討ちにする爽快さもさることながら、ダダのミクロ化光線により全編で唯一
等身大となったウルトラマンが見られます。しかしそれも再巨大化によりアッサリと解決。この時、いつもの変身シーン(赤いバックに右腕を突き出してくるアレ)が見られることから、アレは変身ではなく巨大化のプロセスであり、変身そのものはフラッシュビームを焚いた時点で即行われる、と推測できます。それはさておき、ビルの屋上から落ちそうになったキャップと秋川技官をすんでのところで助け、地上におろし(実景とウルトラマンの手の合成!)、ここから「さあ決戦だ!」といわんばかりに鳴り響く戦闘BGM、M−5!これは燃えます。




第29話
「地底への挑戦」
黄金怪獣ゴルドン 登場 脚本:南川竜/金城哲夫
監督:野長瀬三摩地
1967/1/29放映
金を食べ、自身も黄金に輝いているゴルドンも個性あふれる怪獣ですが、ストーリーの要はゴルドンとの戦いではなく、「地底」という未知の世界への挑戦そのものになっています。
まずは地底戦車ベルシダー!新メカの登場はいつ見てもワクワクしますね。快調に地底を進むもののベルシダー自体の故障やゴルドンとの遭遇により徐々に状況が悪くなっていくサスペンス描写がかなりイイです。空気が悪くなっていくだけでキャップとイデ隊員の顔がなぜ汚れていくのかが若干謎ではありますが。
一方、ウルトラマンとゴルドンの戦いは比較的地味で、まあ四足型の怪獣とはアクションがなかなかしづらいのでしかたがないともいえます。しかしポイントはその後!ゴルドンを倒し、ベルシダーを助けに地底へ突入するシーンで初めて戦闘BGM(M-5)がかかります。ここからが本番だ!とでもいうべきテンションの上がり方で、これはタマラン!人類の英知たる科特隊の超兵器ですらエンコする未知の世界からキャップとイデ隊員を平然と救い出すウルトラマン、まさに神!!
余談この回で、ウルトラマンのBタイプスーツは最後となりました。もう見るからにボロボロです。しかしBタイプ初登場時はケガをしたハヤタ隊員をフジ隊員が助けようとし、今回は逆のパターンなのが偶然とはいえちょっとおもしろいです。
第30話
「まぼろしの雪山」
伝説怪獣ウー 登場 脚本:金城哲夫
監督:樋口祐三
1967/2/5放映
よく見ると、ウーではなく雪ん子の物語ですね。素性がよくわからないために迫害されてしまうという、差別問題のようなテーマをうっすらと感じさせます。果たしてウーは雪ん子の母親(の化身)なのか?それは劇中では明確には語られませんが、山の守り神というか、日本昔話的な雰囲気をかもし出しています。
なお現場のスキー場を訪れたハヤタ・アラシ・イデの3隊員は、現場検証のためにスキーで移動しますが…妙に流暢な滑りです。スタントマンでしょうか?(追記:「ウルトラマン創世記」によればスタントマン、というかインストラクターの人に依頼したそうです)
余談1:ハヤタ隊員役の黒部進さんが一番お気に入りのエピソードだそうです。
余談2:この回から、ウルトラマンのスーツがCタイプになります。
第31話
「来たのは誰だ」
吸血植物ケロニア 登場 脚本:海堂太郎
監督:樋口祐三
1967/2/12放映
謎の人物の登場から始まって、徐々に謎があきらかになっていくというサスペンス演出満点のエピソードです。等身大ケロニアは、引きの絵では頭が大きすぎる(かぶりものなのでしかたないですね)のでイマイチですが、アップではそれがわかりにくく、特に衣装ケースから突然出てくるところは本当に怖い!!巨大ケロニアより、ある意味こちらの方が怖いのではないでしょうか。ウルトラマンの戦いも、巴投げやドロップキックなどスピーディかつパワフルで、スペシウム光線がきかないケロニアの強さもさえてます。そして新技、アタック光線を披露!映像から受ける感じでは、アタック光線自体には破壊力はなく、相手の動きを封じて念力(?)で爆殺しているように見えます。光線が「アタック光線」で、光線〜念力という一連を「ウルトラアタック」と呼ぶ、という説もあります。
また全体を見渡してみても、「大軍を率いた怪生物の侵略」という、「ウルトラマン」では珍しいタイプのエピソードです。同じ形式のものは、これ以外にはバルタンとゼットンしかありません。エアシップの大群は見るからに脅威を感じます。が、
DVDでは吊ってる糸が見えすぎちゃって困ります(笑)。
余談:植物研究の二ノ宮博士を演じるのは、「ウルトラセブン」でキリヤマ隊長を演じる中山昭二さんです。
第32話
「果てしなき逆襲」
灼熱怪獣ザンボラー 登場 脚本:藤川桂介
監督:鈴木俊継
1967/2/19放映
科特隊インド支部のパティ隊員役で真理アンヌがゲスト出演。彼女はインド人と日本人とのハーフで、インド支部という設定はそこから来たのでしょう。ちなみに当時18歳。この当時「公害」という言葉はまだ生まれたばかりで、本格的に社会問題化するのは1970年代になってからです。まだ「開発」が前向きだった時代のはずですが、そんな時代に自然界からの逆襲としてザンボラーを描いているのはさすがです。そのザンボラーは高熱を持つ(ちなみに何度なのかは言及されていません)怪獣で、そこにいるだけで山火事が発生します。ペスターの時にこりたのか、ビートルには消化剤噴霧装置が取り付けられ、科特隊はこれで消火活動にあたるのでした。
余談1:ザンボラーはガヴァドンの改造ですが、背中の発光角には透明ポリエステル樹脂を使い、非常に手間がかけられています。
余談2:
ウルトラマンダイナ第21話「高熱怪獣3000度」に出てくる超高熱怪獣ソドムも、熱を持っていることが個性であるという点においてザンボラーと似ています。しかしこちらはスーパーGUTSが科学の粋を集めて冷まそうとするストーリーなのが違うところなんですが、結局…いや、このあとは実際に鑑賞してみて下さい(笑)。
余談3:このエピソードでは、フジ隊員は珍しく髪をしばっています。




第33話
「禁じられた言葉」
メフイラス星人 登場 脚本:金城哲夫
監督:鈴木俊継
1967/2/26放映
今も語り継がれる名キャラクター、メフィラス星人の登場です。勤務中だというのに弟のサトル君(実はムシバ少年)を連れて航空ショーを見に行ってしまうアキコ隊員と、それに付き添うハヤタ隊員!それとも非番の日に科特隊の制服を着て(!)科特隊の車で(!!)ショーを見に行ったのか!?謎です。
ハヤタ隊員を平然と「ウルトラマン」と呼ぶメフィラス星人、何もかもお見通しって感じですごくいいです。そして、正体を見抜かれてるのにまったく動じず、むしろ宇宙人どうしというレベルで会話してるハヤタ隊員がまたいいですね。ただ、出てくる時にちょっと笑いすぎですが。あと、サトルくんはトシの割りにちょっと思想が立派すぎ(笑)。
個人的にちょっと釈然としないのが。キャップとイデ隊員がメフィラス星人の円盤に潜入するシーン。メフィラス星人と鉢合わせしなかったのか?という疑問もさることながら、ハヤタ隊員を見捨てて行ってしまうのが謎。助けようとしたら強烈な爆発が起きて助けようにも助けられなかったとか、そんな描写がほしいところでした。硬直したハヤタが倒れて変身することについては、「ハヤタとウルトラマンは肉体を直接共有しているわけではない」という22話の設定が生きているのがうれしいですね。
そしてウルトラマンとメフィラス星人の対決!飛行能力、光線技、体技など互角という緊迫感がたまりません。しかしメフィラス星人は、人間の心に負けたことを認め去っていくのでした。「メフィラス星人は今度は、あなたの心に挑戦してくるかもしれないのです」というエンドナレーションがキマっています。
余談:「岩本博士」と呼ばれる人物は、6話でダイヤモンドキックをやっていた伊藤久哉さんです。見た感じが似てるので平田昭彦さんの代役と考えられますが、「ウルトラマン」にはいろんな博士が出てくるので、同じ苗字の別の博士という可能性も考えられますが…真相はいかに!?
第34話
「空の贈り物」
メガトン怪獣スカイドン 登場 脚本:佐々木守
監督:実相寺昭雄
1967/3/5放映
「ウルトラマン」では一番のコミカル編です。といっても、かなりシュールな笑いではあります。赤坂までビートルで傘を届けさせるキャップには、私用で隊員とビートルを使っていいのか!ということより、高空から傘が落ちてきてよく受け取れるね?とつっこむべきですが、本当はそんなツッコミさえ入れずに、「んなアホな(笑)」と言いながら見るのが正しい楽しみ方と思えますがどうでしょう?勤務中に大福を食べてるフジ隊員に爪を削ってるハヤタ隊員、寝ぼけてネグリジェやパジャマで出てきてしまう隊員達に対しても同じでしょう。
ところで、フジ隊員が窓から雪を眺めるシーンがありますが、科特隊本部の司令室に窓があったなんて!というより、司令室のシーンはいつも一定の方向からしか映されないことに気がついてしまったのでした。ホームドラマで食卓がある茶の間のシーンと同じ原理ですな(?)。
スカイドンは体重20万t!ウルトラマンの約6倍です。そりゃ持ち上げられないことでしょう。目覚めた時にノビをするところや、尻尾の先(尻の穴?)に弾丸を打ち込まれた時にビクッとなるところなど、生物感にあふれた表現が魅力的な怪獣です。
余談1:スカイドンはガマクジラの改造です。
余談2:劇中の「オートジャイロ作戦」は、巨大なプロペラユニットを怪獣にとりつけ、ユニットごと宇宙へ放り出してしまう作戦ですが、「実相寺昭雄監督作品ウルトラマン」(78年)の劇場パンフレットのストーリー説明では、ビートルで怪獣の手足を引いて怪獣自体をプロペラ化して飛ばす…となっていました。企画時のネタなのかライターがボケてたのか??
余談3:有名な、ハヤタ隊員がベーターカプセルと間違えてカレースプーンを高く掲げるシーン。その直前のシーンでは、実はハヤタ隊員はスプーンをちゃんと置いて出て行くのです…。
第35話
「怪獣墓場」
亡霊怪獣シーボーズ 登場 脚本:佐々木守
監督:実相寺昭雄
1967/3/12放映
実相寺監督作品最後の1本。「怪獣を宇宙に帰す」という点が「空の贈り物」と同じなのですが、方向性はまったく別の作品になっています。全編に流れるチェンバロの物悲しい旋律と、寂しげなシーボーズの咆哮が印象的な一編です。悲しい悲しいといっても号泣するような物語でなく、ウルトラマンがシーボーズをロケットまで誘導するシーンを見てもわかる通り、悲しさの中にもコミカルな、コミカルな中にもどこか物悲しい、そんなストーリーです。科特隊やウルトラマンにいつも怯え、帰りたくて空を見上げるシーボーズの感情表現は抜群です。もっと子供や女性に人気が出ていい怪獣だと思います。
シーボーズが街を破壊したわけでもないのに科特隊が攻撃を始めてしまうのは不自然ですが、これは「実はおとなしい怪獣だった」という結論を早く表現するためのテンポとして妥当なところでしょう。しかし、
科特隊の攻撃によって建設中の高速道路がぶっ壊されるのはあんまりかと(笑)。また夕暮れのシーンでは、ビートルを地上に固定して砲台的な攻撃をするという、珍しい場面が見られます。
ビートルの描写についてもうひとつ。シーボーズの腕にアンカーを打ち込み(痛そう…)、引っ張り始めた時に2機同時にジェット噴射を始めます。ビートルは通常は噴射炎が見えませんから、いかにも出力アップした!って感じが出ていてとてもいいです。でも
発射台ごと縛り付けて発射できるのかしら。
余談1:ロケットセンターの所長は永井英明さんという俳優さんですが、「無限へのパスポート」では福井博士の役で登場しています。また女性所員役の田村奈巳さんは、フジ隊員候補の1人でした。
余談2:科特隊にぶっ壊された高速道路はその後立派に完成しています(笑)。シーボーズを発見する隊員たちが歩く歩道橋の向こうにその高速道路(建設中)が見えますが、その歩道橋は六本木1丁目付近にあるそうです。
余談3:今回は全編で唯一、ウルトラマンが3回出てきます。
第36話
「射つな!アラシ」
変身怪獣ザラガス 登場 脚本:山田正弘
監督:満田かずほ
1967/3/19放映
攻撃を受けると、次の瞬間にはその攻撃に対する耐性を持ってしまう怪獣、ザラガス。聞くからに強そうな、攻略に悩んでしまうような特徴の持ち主です。人間ドラマのエピソードでありながら怪獣に個性があって魅力的なのはさすがです。
「おじさん、怪獣はもう科特隊がやっつけちゃったんだろ?科特隊は強いもんね」という子供の言葉に、その期待に答えてあげられていない自分を悔やみ、そして何かを決意したように去っていくアラシ隊員にはグッときます。
たくさんの被害者を出したザラガスの閃光攻撃、ウルトラマンもくらうかと思いきや咄嗟に腕で目をガードするカッコよさ!しかし不意の攻撃にウルトラマンも一時的に視力を失うもののアラシ隊員の協力でザラガスを倒します。
隊員たちの人間ドラマも強くてカッコいいウルトラマンも楽しめる、私が大好きなエピソードのひとつです。
余談1:ザラガスはゴモラの改造です。
余談2:児童会館の屋内公園は横浜ドリームランドで撮影されたようですが、同園は残念ながら2001年に閉鎖されてしまいました。




10
第37話
「小さな英雄」
怪獣酋長ジェロニモン 登場 脚本:金城哲夫
監督:満田かずほ
1967/3/26放映
イデ隊員悩みシリーズ完結編(?)にして「ウルトラマン」での最高視聴率(42.8%)を誇るエピソードです。今回も、「ウルトラマンさえいれば科特隊は不要ではないのか」というイデ隊員の悩み、というより番組のテーマ自体に対する挑戦が軸になっていますが、やはりそれ以外の見所もたくさんつまっています。冒頭、パニック状態のデパートが実はピグモン出現によるものだという肩すかしがシャレてますが、ピグモンはどうやって日本に、それも銀座に、しかもデパートに来たのでしょう??
「ウルトラマン」も終盤に差し掛かってきて、映像技術もかなりあがってきています。スパーク8で消滅するドラコや、ムラマツ・アラシ・フジの3人がスーパーガンを撃つショットからパンしてジェロニモンにつなぐところなど、なかなかのものです。
それはともかく、2回出てきて2回とも人間を守るために死ぬピグモンにはまたしても心を打たれます。ここでは、モチベーションが思いっきり下がっていたのに新兵器スパーク8を開発してたイデ隊員につっこまないようにしましょう(笑)。
ピグモンが言った通り超能力を持っているジェロニモンに、ウルトラマンは苦戦します。大量の羽根手裏剣(?)とのスピーディな空中戦の操演技術もすばらしいですし、囲まれたウルトラマンが羽根を念力で止め、回転しながらスペシウム光線を掃射するという珍しいシーンも見られます。さらに
ゲームではやたらお世話になるのに本編ではここでしか出てこないウルトラバリヤー!これらたまにしか見せない超能力が出てくると思わず目を見張ります。
そしてウルトラマンが持ち上げたジェロニモンをイデ隊員がスパーク8で破壊します。これを、「ウルトラマンがイデ隊員に花を持たせたのであり、イデ隊員自身が倒したわけではない」と揶揄する人もいますが、私はそうは思いません。自分で倒せるのに花を持たせたのでも、逆にイデ隊員に頼りきったのでもなく、「仲間」として連係プレーをしたのだと私は解釈しています。
余談1:デパートでピグモンが見つけるガラモンの玩具は、調べに調べたところ、マルサン製の電動歩行プラモデルでした。そのとなりにはレッドキングとカネゴンの玩具がありますが、これも同シリーズなのでしょうか??情報モトム。その他「ピグモンはどこです?」と言うキャップから寝ているピグモンへパンするカットをスローで見るとわかりますが、その棚にはブルマァクのソフビ人形がならんでいます。少なくともレッドキングとゴローが確認できます。こんな巨大なソフビのウルトラ怪獣がデパートに大量に並んでるなんて、いい時代だ…。
余談2:デパートに来た警察が科特隊に電話する場面から、科特隊への電話番号は「999」のようです。
第38話
「宇宙船救助命令」
サイゴ キーラ 登場 脚本:上原正三
監督:円谷一
1967/4/2放映
ドラマ的には特別突出してるということもないのですが、すごいのは舞台設定のスケールのデカさ!(おそらくは衛星軌道くらいまでが精一杯な)ビートルとは一線を画す宇宙船白鳥(しらとり)での惑星間航行、いかにも昭和40年代の少年誌のグラビアに出てきそうな宇宙探検車でのQ星探索、そして怪獣は2頭も登場するという娯楽巨編です。「宇宙」や「科学」が夢だった時代の男の子たちを煽りっぱなしの30分!後番組の「キャプテンウルトラ」を意識している部分もあるのかもしれません。
造形物だけでも前述の白鳥と宇宙探検車(「宇宙タンク」または「スペースタンク」という名前のようです)に加えて宇宙ステーションV2と無人探査機「プロスペクター」、2頭の新規製作怪獣、さらにゴツゴツした岩だらけのQ星のセット…とものすごく作りこまれています。しかも科特隊の攻撃によりサイゴが吹き飛ぶシーンは、サイゴの画像が割れたガラスのようにバラバラと壊れていく、これまでにない映像になっています。前回の再生ドラコの粉砕シーン同様、
映像屋たる円谷プロの面目躍如というところです。
Q星上のシーンで怪獣の場面は当然セットですが、人間の場面は岩だらけで一部雪が積もっているところから見て、高山(ひょっとして富士山?)の山頂付近で撮影したと思われます。空気もなく草木も生えない謎の惑星を描くにはナイスな選択と言えますが、さすがにそんなところでの夜間撮影はできなかったのか、青空が広がっているため怪獣の場面との整合性がとれなくなってしまってます。これはまあしかたがないというところでしょうか。
ひとつだけ残念なところを挙げるとすれば、閃光を発して相手の目をくらますというキーラの特殊能力が、ザラガスとカブっちゃってることです。ザラガスの時はそれ自体がドラマの軸になり、ウルトラマンの戦いでもピンチでハラハラさせた後に最高のカタルシスを持ってきていただけに、どうしてもそれと比較してしまいます。
念力で倒すという新技が見れたということでカンベンしてあげましょう(?)。
第39話
「さらばウルトラマン」
宇宙恐竜ゼットン 登場 脚本:金城哲夫
監督:円谷一
1967/4/9放映
ついにやってきた最終回。製作が放映に追いつかなくなったというのが39話で最終回を迎えた理由であるわけですが、映像クオリティがまったく落ちていないのはさすがです。というより、クオリティを落としたくないからこそ継続を断念したというべきでしょうか。
侵略ネタは意外に少ないウルトラマンですが、円盤群のビジュアルと緊迫感あふれる音楽で、最終回らしい「地球最大の危機」の印象を強くしています。それでも、最初のうちは「円盤群の飛来目的は不明」としており、「宇宙人を見たら敵と思え」というほど短絡的ではないのもいいですね。
向かい合った自衛隊機と円盤軍とが互いに静止している(?)のはなんだか謎ですが、航空機チーム同士のドッグファイト(??)が見られるところはまさに円谷プロという感じです。ちょっと糸が見えすぎですが。
最初に円盤群が襲来するところや、ビートルが円盤を探して岩場をすり抜けて飛ぶところなど、なんとなく「ウルトラセブン」のニオイがします。それにしても、ゼットンが乗った円盤以外すべて撃墜するっていうのは…科特隊の実力はハンパではないのでは。
ゼットンは実に強い!バルタン星人を撃ち落すマルス133がまったく効かないわけですから。いつものように空中からキックとかでなく、いきなりキャッチリングという新必殺技(?)を見せたウルトラマンは、ゼットンが強いので普通の戦法では勝てないと判断したのでしょうか。「宇宙恐竜」という別名がまたイイ!地球上の恐竜とまったく違うスタイルであることが、謎の強大な生物っぷりに拍車をかけます。演出面では、カラータイマー点滅時ナレーションも久しぶりに入り、より緊迫感を盛り上げてくれますね。
ウルトラマンと分離されたハヤタには、ウルトラマンと一心同体になってからの記憶がありませんでした。分離したことがわかりやすくなる表現だとは思うのですが、その後他の隊員たちとうまくやっていけるのでしょうか?
ともかく、こうしてウルトラマンの物語に幕が下ろされたのでした。
ウルトラマン、ありがとう!ウルトラマン、さようなら!!
余談:岩本博士(に化けたゼットン星人)が逃げる場面、科特隊がウルトラマンを見送る場面など屋外のシーンは、藤沢にある東レ(株)基礎研究所です。

TOPへ戻る   ウルトラのTOPへ  

inserted by FC2 system